みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

多摩川の夕日

2000年に介護保険制度がスタートし、私は介護業界に就職して、小田急線の殺人的ラッシュに揉まれながら通勤していた。煩雑な仕事とくるくる変わる制度の変更に翻弄される日々。疲れると多摩川の夕日を眺めに行ったものだ。

2001年のある日、水神社の脇から多摩川の土手に行き、調布の方向を見ると、多摩川の川面は淡いピンク色の夕焼けに染まっていた。年配の漁師が一人、夕焼け色に染まる川の中で、静かに釣り糸を垂れている。吸い寄せられるように手にしたデジカメのシャッターを切った。

 

   

 

この写真はその後現像もしないで、パソコンのドライブレコーダーにしまったまま忘れていた。それから長い時間が過ぎて、ピクチャーの整理をしていた時にこの多摩川の写真を見つけた。夕焼け色に染まった多摩川の流れと無心に釣り糸を垂れる一人の漁師の姿。

時が止ったかのような静寂が、現在の自分の気持ちに重なる。こんな素敵な写真を忘れていたなんて。すぐさまデスクトップの背景に移した。

 

写真がマイバックに

それからまた何年か過ぎ、いつものツィッターを見ていたら、調布市と狛江市共催のイベント「お気に入りの場所の写真をツィッターから投稿して」という呼びかけがあった。お気に入りの場所といえばこれしかないだろう。

調布市の担当者宛に、多摩川と漁師、の写真を送信した。数日後に女性担当者から届いたむねの返信と電話があり、当選者にはその写真をマイバックに印刷して進呈するといわれた。

写真を投稿される方は大体プロ仕様のカメラをお持ちだろう。私は普通のデジカメなので、布に印刷すると鮮明度が劣り、肝心の漁師と釣り竿が映らない心配があった。それでも彼女は「この多摩川の写真が大好き」といわれる。しばし多摩川の写真の話題で盛り上がる。水神社の土手から眺める多摩川の夕日は定評がありファンが多い。

都心に近い多摩川に自然がかろうじて残っているのは「多摩川の自然を守る会」をはじめ、地域の多摩川を保全しようと活動するグループの地道な活動があるからこそ。

多摩川の自然よ、永遠に。