みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

今、病院で起きていること

先週、勤務が終わってから夕方の時間、包括支援センターでケア会議があった。ケアマネージャーが対象で、テーマは「医療との連携」。
大学病院付属の医療センター、国立医療センター、中規模病院のソーシャルワーカーが見えた。

今は大きな病院には医療相談室があり、ソーシャルワーカー(相談員)がいる。
患者や家族を対象に、療養中の問題の相談・調整援助、退院、在宅へ戻るための橋渡し、転院の相談調整、経済的問題などの相談、調整などが主な仕事である。

ソーシャルワーカーは、後期医療制度スタートの余波で、患者から「老人は死ねというのか」といわれることがあるそうだ。
どこのソーシャルワーカーも、「病院から在宅へ」という国の方針を受けて、入院患者の追い出し、一人入院させるために、事務的に誰かを追い出さなくてはならない。「なんという酷な仕事なのか」と苦しい胸の内を語っていた。

私たちケアマネージャー(介護支援専門員)は、厚労省の通達で医師との連携が義務化されている。多忙な医師とどうコンタクトを取ったらいいか常に頭を悩ませている。
医師の方は書類の多さに悲鳴をあげ、要介護認定に必要な主治医意見書も期限以内に書き上げるのは至難の業であることが、ソーシャルワーカーの口から語られた。
しかしながら厚労省は、サービス担当者会議の開催、照会を義務化し、行わない場合は実地指導や監査でチェックし、処罰・介護報酬を減算する。
だからケアマネは厚労省の通達にそって、必然性がなかろうが書類を医師に送り続ける。

医師もソーシャルワーカーもケアマネも書類の煩雑さに時間を取られ疲弊し、お互いに必要な連携が行えない皮肉さ。
それでもこれはどうしても必要という患者については、医師、医療関係者、患者、家族、在宅の医療関係、ケアマネと会議を持つことはしているといわれる。
どのソーシャルワーカーの話も切実で生々しく、病院で今何が起きているかがわかってよかった。こういう話はもっと広く知らされるべきだと思う。

日本が世界で類を見ない高齢社会になるのはだいぶ前にわかっていたこと。医療、介護、年金の現場の混乱を見るにつけ、厚労省、医師会、専門家、議員は今まで何をしていたのだろうかと、不思議でならない。