みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

暑中お見舞い

kawanomiti2008-07-21

わが家の緑のカーテン、連作障害が出たか実の付きが悪い。
どうやら長いニガウリの種類らしく、手前のは30センチもある。

梅雨が明けたので梅干しを始めたいが、天候が安定しない。今度の土日まで延期することにしよう。

盗まれた自転車はまだ見つからない。もう充電は切れてるはずなのに。通勤と仕事に必要なので、新しい電動自転車を物色中。


さて、前々回紹介した脳腫瘍を抱えた91歳の女性(仮にソノ子さんとしておきましょう)は、この暑さの中どうお過ごしだろうか。
先週訪問したら、一時食欲が衰えたけど、今は元に戻ったそうだ。前はディサービスから帰るとベッドに横になっていたのに、1時間くらいずっと同じテーブルに坐っていた。
ソノ子さんはお嫁さんと私が友達だと思っているらしく、「どうぞどうぞ、私にかまわずにお話を続けていいのよ」と、自分は目の前に新聞を広げている。お嫁さんが「本当は読んでいないのよ」と、こっそり私に言う。たしかに時々新聞が逆さまになっていることがある。
帰る時、ソノ子さんは「またいらっしゃってね」と、玄関まで送ってくれた。お嫁さんとソノ子さんの長い夏はまだ続く。


転移した癌の手術を終え、検査値が落ち着いて安心していたところ、新たに別の場所に癌が見つかった70代の男性(仮に東さんとしておこう)がいる。来月入院して手術になると娘さんから聞いた。
「父は死なないと思うし、今度も大丈夫だと信じています」と娘さんはいう。
東さんは理性的で前向き、弱音を吐かない人だ。しかし、本心はかなりショックのはずだ。

下手な慰めや励ましは失礼だし、どう言葉掛けをしたものか。東さんを訪問するのに足取りが重かった。挨拶の後、癌の転移については事務的に、娘さんから伺いましたと告げた。ソファのいつもの場所に腰を下ろすと、東さんは、知人の娘さんが50歳そこそこで癌で亡くなりましてね。とふだんと変わらぬ表情で話しはじめた。
「若い人は進行が早いですね」。話の流れで、少しは元気が出てくれるかしらと、91歳の女性の脳腫瘍の話をした。
すると、東さんは「私のお婆さんは、昭和30年代に、93歳まで生きましてね」という。
東さんが勤める会社に、実家から「バーサンが死んだから帰るように」と電話がかかってきた。お婆さんは洗濯をしていて倒れた。医者を呼んだら、心臓が止まっているから死んだという。実家では葬式の準備を始めた。
東さんは忌引き願いを書いて会社に出したところ、また実家から電話がきて、バーサンが起きだして洗濯始めた。帰らなくていいから、という。それで、仕事を始めたら、また田舎から電話がきた。バーサンが4時間後にまた倒れた。今度は本当に死んだという。会社の上司に、お前の田舎はいい加減なところだな、と呆れられた。
東さんが実家の前まで来ると、にぎやかな地元の民謡が聞こえてきた。通夜は呑めや唄えやの大騒ぎになっていた。お婆さんは前日まで、近所のたまり場に行き、好物の天ぷらをつまみながら過ごしていた。田舎の人たちは、おめでたい。お婆さんにあやかりたいと葬式もお祭りのようだったという。

東さんは話題が豊富で楽しい方だが、今回もおもしろくて、話に引き込まれた。後で、励まされ元気をもらったのは私の方だったことに気づいた。東さんは今度の手術も無事乗り越えられると信じたい。