みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

白洲正子と薩摩隼人

続けて白洲正子の自伝と彼女について書かれた本を読む。
白洲正子は古きものを愛しながら、斬新であり続けた魅力的な女性だ。小林秀雄青山二郎との交友はステキだし、夫白洲次郎との関係はさわやかで好感が持てる。
白洲正子の人と成りを考える上で、幼い頃から親しんだ能と薩摩示現流の達人祖父樺山資紀の影響があることは納得できる。
樺山資紀が若き頃、幕末の祇園で朋友が見廻り組に殺される。その時、同行していながら逃げた若い侍を、朋友の葬儀の場で呼び、一太刀で斬った。首が朋友の棺桶に落ちる。「こいでよか。蓋をせい」。参列者も斬った者も斬られた者も暗黙の了解のもとにあった。
しかしながらその場に漂った静寂を薩摩武士道の美学のごとく書かれると、私はついていけない。一種のかっこよさはあるかもしれないが、薄っぺらで野蛮だ。
白洲正子が茶道について書いた部分は痛快、次は着物について書かれた本を読もう。