みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

民営化の内実

kawanomiti2005-08-21

今朝の朝顔 
民営化って本当のところがわからなくはないか。歳出を抑えるのを大前提としても、民営化が真に国民の利益になるような制度になっているか、点検し監視する仕組みが開かれないと。
民営化、市場原理ということは採算に合わないことはやらないということだ。それでホームに駅員の姿が見えなくなった。運転手や保線の人員など現場の体制は安全輸送に結びついているのか。過疎の地域に郵便局や公衆電話がどのくらい残るか、など。
さて、知られざる民営化に福祉や介護の分野がある。五年前、介護保険が導入されるまでは介護は措置といって、お役所が内容を決めて施していたのである。部分的にホームヘルプ・サービスを民間に委託してはいたものの、公務員のヘルパーがいた。
さて、民営化、市場原理導入で福祉や介護の世界はどう変わったか。プラスの面では介護保険が浸透し、選択肢が増え、福祉サービスが使いやすくなった。利用者の6割以上が介護保険に満足していると答えている。
しかし、内実はどうか。あるべき福祉の青写真が国民的に広く論議されずに、拙速でスタートした介護保険、中身は問題だらけだ。
「介護の社会化」が大義名分だったが、介護保険制度は実は家族介護を前提にしていることが、スタートしてからわかった。要介護4、5 つまり自分で排泄や食事ができなくなったら、「在宅」生活は難しい。重度の手のかかる病人を退院させられ、受け入れてくれる病院、施設を探すのに家族やケアマネージャーがどれほど苦労しているか。病院も施設も手のかかる病人は受け入れてくれない。悲しいかな、採算重視とはそういうことだ。
「施設」ではなく「在宅」を目指すという介護の理念は正しい。しかし、そうであるなら「在宅」を支えるサービスが充実していなければならないのだが、家で家族が看れば、安上がりという魂胆が見え見えなのだ。パートよりも劣悪な呼び寄せ労働というホームヘルパーの雇用形態をどのくらいの人が知っているだろうか。とにかくこの失業時代に、求人チラシ欄の大部分はホームヘルパー募集で埋められている。施設の介護職員も定着率が悪い。
介護の世界では民営化が安上がりとはいえないということがわかった。ケアマネージャーは介護報酬の点数が低いため、所属会社の利益にそった仕事をせざるをえない、要介護認定調査も民間にまかせたら、甘くなったため、自治体の責任で行うよう厚労省は通達を出した。過疎の地方からケアマネージャー会社が引き揚げたので、自治体が募集しているという話、解散した公務員ヘルパーを部分的に復活させる動きも聞いた。介護の業界は歴史が浅く、医師会のような圧力団体も労働組合もないので、問題が表に出ない。制度というものは明暗あり、スタート時は混乱がつきものだとしても、実態が国民に知られずに現在介護保険制度の見直しが行われていることが一番問題だ。
現場を担う人間が奴隷みたいに働かされ、尊厳も何もなければ、安全やよいサービスなんて無理なのだ。鉄道も航空業界も介護も、みんな同様だ。市場原理、競争原理優先で、正論がいえない世界はいつかは破綻するだろう。
民営化についてブログを検索したら、民営化か否かという二分論の選択は古い。公民連携だというのがあって、目からウロコ。従来型の官の下請けではない市民参画型の公民連携と情報開示が不可欠だ。