みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

小春日和に

仕事で特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、病院・・・など、いろんな施設に行く。
特別養護老人ホーム(特養)を例にとっても、それぞれに中身に違いがある。病院やその他の施設も同様、所変われば品変わる、こうも違うものかと驚くくらいだ。
1時間くらいの訪問時間だが、玄関から施設内に入った瞬間に空気の違いを感じる。よくいわれることだが、現場の職員がいきいきと働いている職場は、利用者にとってもよい環境だといえるかも知れない。
しょっちゅう介護職員の募集を出しているところは問題があるところだ。そういうところは職員にゆとりがなく暗い顔していたり、態度がとげとげしかったりする。なぜかどこの病院も介護施設も慢性的に人手不足だ。

こちらは前もってアポを取ってあるので、職員が対象である利用者のところに案内してくれる。そして、本人に面接した後、担当職員からも話を聞くことになっている。
本人の介護保険のサービスの内容を決めるための重要な面接調査であり、施設の利益にもかかわることなのだが。時には放って置かれたり、仕事の合間に手を休めないまま早口で答えられることがある。

昨日行った特養の担当者は若い青年だった。ちょっとその辺にはいないすてきな青年で、応対が自然できちんとしていた。対象者は大正生まれの女性で教師だった方。認知症が進んでいたが、穏やかな表情をしていて、その職員との間に信頼関係ができていることがうかがえた。
彼女は昨日、夕食前に写真を口に入れているところを職員に見つかった。彼女は私に、いかに職員が親切であるか、今の生活に何の心配も不満もないことを繰り返し話す。認知症が進んでいても相手が好青年かどうか、どういう人間性かはキャッチできるのね。
その施設には忘れていた快い空気が流れていた。もし自分が施設に入るなら、こういうところに入りたいな。やはり、施設は人なのだ。施設を選ぶなら施設の理念とともに職員体制や夜間の人員配置、職員が長く働ける職場かどうかというのは基準になると思う。

その運営母体で出しているニュースをもらってきた。家で見たら、題字のところに吉野作造筆とある。なんか聞いたことある名前だなと検索してみた。

吉野作造
1878〜1933(明治11〜昭和8)明治・大正・昭和の政治学者。大正デモクラシー運動の理論的指導者。1914年(大正3)東大教授。このころから「中央公論」に政治評論を発表しだし,1916年同誌1月号に発表した『憲政の本義を説いて其の有終の美を済すの途を論ず』などで民本主義論を唱え以降のデモクラシー運動の理論的支柱となった。
東京帝国大学学生基督教青年会(YMCA)特別会員有志である木下正中、吉野作造、藤田逸男、河田茂、片山哲星島二郎らにより、キリスト教の趣旨に基づき、婦人と小児の保護、保健、救療の目的を持って「賛育会」を創立。

という古い歴史を持つ組織が設立・運営する特養だったのだ。