みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

近代日本と軍隊

今読みかけの本。
「あの戦争は何だったのか」保阪正康 新潮社  「白洲次郎 占領を背負った男」北康利 講談社


先週17日で歴史講座「幕末から明治へ」は終わった。
最終回は防衛大学校国際関係学科教授 戸部良一さん
「武士集団から近代軍隊の創設へ」
1 国軍の創設
幕末の軍制改革 兵権の統一
2 封建制の克服
廃藩置県→分権制の解体 徴兵制→身分制の解体 徴兵委忌避 徴兵制の性格
3 軍紀の確立
竹橋事件 軍人訓誠→軍人勅諭 統帥権の独立
4治安維持・国土防衛・対外戦争
軍事費と兵力規模 師団制の導入 軍制改革
というレジメにそって話された。

防衛大学というからどんないかつい先生がくるのかと少し緊張して待った。登場したのは背広姿のソフトな印象の先生。髪は角刈りではなくやや長めの七三分け。「軟弱な方です」とユーモラスに自己紹介された。
防衛大学校とは自衛隊の幹部を養成する大学で、全寮制、学費は無料で学生は給料がもらえるとのこと。ちなみに防衛大を卒業して民間企業に就職しても学費を返さなくてもよいそうだ。

私はなぜか講義は子守唄で必ず居眠りが出る。
それでも幕末から明治に変わり、軍隊がどのように作られたか、流れがおおまかにわかってよかった。
武士集団から近代的な軍隊に変わるということは、草鞋(わらじ)から靴に履き替えることからはじまった。陸軍はフランス式、海軍はイギリス式の教育を取り入れた。たとえば最初の数年、陸軍士官学校ではフランス人の先生からフランス語でフランスの歴史を習い、招魂社(靖国神社)の礼拝もフランス式で、十字を切る礼拝が行われたというから笑える。
近代国家を作る上で軍が大きな力を発揮する。近代国家とは暴力の独占である。それは中国、ヨーロッパでも同じプロセスをたどったということだ。
戸部先生は、日本は短期間で軍隊を創設したことのつけが昭和になってあらわれた、と少し昭和の時代に触れられた。

明治に創設された近代軍隊がなぜ、昭和にあのような戦争に突入するのか、この先を著書で読んでみたい。
歴史講座「幕末から明治へ」〜近代国家の骨組みはどうつくられたか〜
全6回が終了した。毎回講師が変わることでそれぞれの専門分野の話が聞けて、当然ながら歴史観も様々でおもしろかった。
この歴史講座を通して私なりに感じたこと。明治政府が国の方針を富国強兵に決めたこと、鎖国から性急に欧米列強の仲間入りをし、軍拡競争に突入していったところに、その後の日本の危うさの始まりがあったように思った。