みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

介護の人材流出

kawanomiti2006-10-21

昨日も秋晴れの爽やかな仕事日和だった。世田谷区は三軒茶屋近くの住宅街、青い朝顔の花が目に入った。今まで見たこともない鮮やかな深いブルー。
前、曽野綾子の『天上の青』という新聞小説を読んだ。主人公は美しい青色の朝顔を育てている。この青はその天上の青に近いだろうか。
たしか朝顔の季語は秋ではなかったか。青い朝顔の周囲を圧する孤高な美しさ。自転車を止め、しばし見とれた。

職場で一昨日のクローズアップ現代「介護の人材流出ー老後の危機」が話題になった。
介護保険の介護報酬が低く抑えられているため、ケアワーカーの賃金が安い。国家資格の介護福祉士27歳男性の勤務先はグループホームだ。夜勤をしても月17万の給料しかもらえない。たった一人で夜間9人の認知症の老人の世話をする。彼は悩んだ末に5年間続けた介護の仕事に未練を残しつつ退職を決めた。

景気が悪い2〜3年前まではそれでも若い男女の採用ができたが、景気が回復した今は、福祉の人材養成学校もホームヘルパー養成講習も人が集まらず定員割れだ。介護施設を建設する計画も職員が確保できないため、建設がストップしているという。
そこで、小泉首相はフィリピンに飛び、アロヨ大統領とフィリピンの介護福祉士の資格者を介護職員として受け入れる取り決めを行ったのはニュースで知るところである。しかし、マスコミはその背景、問題点については深く言及していない。
フィリピンから介護職員を大量に受け入れるということは、介護職員が安い賃金のまま据え置かれ、介護職員の質と量の確保の根本的な解決にはならない。
まぁ、少子高齢社会の日本にフイリピンや外国の人が働き手として入ることは避けられないだろうし、人種の多様化は良い面もあるだろう。
だが、使いたい時だけ働かせ、使い捨てにする安全弁として安易に受け入れるなら、イギリスやフランス、先進国で起こっているような移民の暴動や社会不安になる。どこまで覚悟があって進めるのか。
介護保険制度は当初の「介護の社会化」という理念から、変節をよぎなくされ、介護の現場は振り回されている。国は年金もそうだが、老後を支える介護保険制度について説明責任を果たしていない。
たまたま放映する日、認知症の90歳の女性のお宅を訪問していた。姑の介護をするお嫁さんに、介護の現場で支え手がどうなっているかを話した。彼女は姑の介護をしながら自分の老後のことを考え、介護施設や制度がどうなっているか知りたいと思っている。
彼女は、「何で介護職の人たちは団結して待遇改善を働きかけないの? こういう問題は、利用する側も知らなければならないわ」といっていた。彼女が番組を見てどういう感想を持ったか、聞いてみたい。


私はクローズアップ現代「介護の人材流出ー老後の危機」を放映前日に、介護保険制度の掲示板で知り、知人らにメールで知らせた。
番組終了してすぐ介護保険制度の掲示板を見たら、もう感想が出ていた。「この番組をこれから介護業界で働こうという若者が見たら、ますます来なくなるだろう」という悲鳴のような声が載っていた。〔笑〕
たしかに、東大教授が問題点をわかりやすく分析してくれていた。でも展望というか希望が見出せないじゃん。介護の世界は3Kの辛いことばかりではない。がんばってる現場の声や元気の出る内容も入れてほしかったな。
NHKさん、どうか言いっぱなしにしないで、大討論番組に仕立ててね。けっこうお年寄りや介護する家族が見ていたのだから、絶望のドン底に突き落としたまま逃げないでよ。