みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 *「吉村昭文学回顧展」

kawanomiti2007-10-25

三鷹市芸術文化センターで開催されている「吉村昭文学回顧展」に行ってきた。秋の穏やかな陽射しの朝、自転車で野川沿いを走り、深大寺から三鷹通りへ出る。

昨年夏、吉村昭の突然の死、涙とともに読んだ遺作「死顔」。会場に入ると本人の大きな写真パネルに迎えられる。
生涯と膨大な作品の年表を順に追う。総作品270の内、私が読んだのは10冊くらいだろうか。亡くなる前年に行われた対談のビデオ(約1時間)を見て、吉村昭アメリカの小説、フォークナーや、スタインベックが好きだったことを知る。スタインベックの『怒りの葡萄』は映画で見たことがある。フォークナーを読んでみたくなった。

対談の中で、『戦艦武蔵』以降、体験者の話を聞き取り、現場を実際に歩き、史実に沿って書くという自分のやり方について訊かれ、「史実こそドラマチックだから」と強調している。
この文学回顧展のおかげで、吉村昭の人と作品群の全体が何とかつかめた。
吉村昭が亡くなるまで住んでいた三鷹市、緑が多く、建物もごちゃごちゃしていなくて、住み良さそうなまちだ。方向音痴の私は、何人もの人に道を尋ねたが、どの人も笑顔で丁寧に応えてくれた。こんなことってそうあるもんじゃない。
(回顧展は27日まで)


写真は深大寺から三鷹通りに向かう途中の紅葉しはじめた樹木、葉の特徴がほうの木に似ている。