みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

今病院で起きていること

kawanomiti2008-05-18

妹が送ってきた誰かのお下がりのジャケット、これからの季節に重宝しそうな綿と麻の混紡だ。
縫製は日本製、ちゃんとした作りで買えば1万円以上はするだろうな。だが、やや紫がかった薄いピンク色が、寝ぼけた感じで今イチ。娘もいらないという。どうしたものかと考えあぐねていたが、賞味期限がかなり前に切れたルイボス茶が二袋と国産紅茶があるのを思い出した。これで染めて見よう。検索したら触媒はミョウバンがよいとある。これも家にあるではないか。

染め方の手順通りにやったらけっこう簡単、ついでに玉ネギの皮も入れてみた。染まった服をゆすいで干し、アイロンかけたら生成りっぽい淡い茶色で見違えるよう。娘まで、あらいいじゃないの、というが、上げるのが惜しくなった。(実際は写真よりも茶色)


先週、包括支援センターでケア会議があった。夕方勤務が終わってからの時間、ケアマネージャーが対象で、テーマは「医療との連携」。大学病院付属の医療センター、国立医療センター、中型の病院のソーシャルワーカーが見えた。

今は大きな病院には医療相談室があり、ソーシャルワーカー(相談員)がいる。
患者や家族を対象に、療養中の問題の相談・調整援助、退院、在宅へ戻るための橋渡し、転院の相談調整、経済的問題などの相談、調整などが主な仕事である。

ソーシャルワーカーは、後期高齢者医療制度スタートの余波で、患者から「老人は死ねというのか」といわれることがあるそうだ。制度の混乱を現場の相談員がもろにかぶっていることがうかがえた。
どこのソーシャルワーカーも、病院から在宅へ、の国の方針を受けて、入院患者の追い出し、一人入院させるために、事務的に誰かを追い出さなくてはならない。なんという酷な仕事なのかと苦渋の胸の内を語っていた。

私たちケアマネージャー(介護支援専門員)は、厚労省の通達で医師との連携が義務化されている。多忙な医師とどうコンタクトを取ったらいいか常に頭を悩ませている。
医師の方は書類の多さに悲鳴をあげ、要介護認定に必要な主治医意見書も期限以内に書き上げるのは至難の業であることが、ソーシャルワーカーの口から語られた。
しかしながら厚労省は、サービス担当者会議の開催、照会を義務化し、行わない場合は実地指導や監査でチェックし、処罰・介護報酬を減算する。だからケアマネは厚労省の通達にそって、必要があろうがなかろうが書類を医師に送り続ける。

医師もソーシャルワーカーもケアマネも書類の煩雑さに時間を取られ疲弊し、お互いに必要な連携が行えない皮肉さ。それでもこれはどうしても必要という患者については、医師、医療関係者、患者、家族、在宅の医療関係、ケアマネと会議を持つことはしているといわれる。
それぞれのソーシャルワーカーの話の内容は切実で生々しく、病院で今何が起きているかがわかってよかった。こういう話はもっと広く知らされるべきだと思う。


日本が世界で類を見ない高齢社会になるのはだいぶ前にわかっていたこと。医療、介護、年金の現場の混乱を見るにつけ、厚労省、医師会、議員は今まで何をしていたのだろうかと、不思議でならない。