みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

振り込め詐欺

先月、知人から電話があった。振り込め詐欺に引っかかったというのである。
「OOさんともあろう方が・・・」私は電話口で絶句した。彼女は現役で仕事をしており、責任ある役にもついている。新聞は2紙購読、仕事がら振り込め詐欺の被害を身近に見聞している立場だ。

息子さんの大学の同窓生、先輩の名前を出され、信用してしまったらしい。
「声が変ね」というと「風邪引いたんだよ」。相手は、こういえばあゝ答えるで、用意周到に彼女を追い込んだ。何たる会話力、演技力と呆れ果てる。

結局彼女は96万円振り込んだ。夕方、息子さんに相場なんかに手を出して、とお説教するつもりで電話したところ、そんなのやってないよといわれ、はじめて騙されたことに気づいた。
「笑うしかないわね」。彼女は騙されたことが悔しく憤懣やるかたない。警察に届けたら、「周囲の人に知らせてください」といわれた。

しかし敵は次々に新たな手口を考えだしているから、対応策といっても難しい。被害者、被害総額は増えるばかり。幾つになっても親はわが子のことが心配なんだね。わが子が窮地に陥って助けを求めてくると、かくも冷静さを失うものか。わが身に置き換えても他人事ではない。

振り込め詐欺の実行者たちは、こんなに簡単に引っかかるなんて、と悪事を承知でやめられないのであろうが、何十年後かに年老いて、あるいはわが子を持った時に、何を思うだろう。

一人ではなく仲間がいるから、それほど罪の意識なくやっているのだろうが、いずれそういう仲間の絆は破綻する。悪銭身につかず。というではないか。それとも、将来を考えられないほど彼らの絶望は深いのか。
若い者が高齢者を騙す詐欺にしか活路を見出せない社会はかなしい。