みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

その人らしく生き(き)るために

ばたばたと目まぐるしい日が続いた。胃の調子が悪いので病院に行きたいが後回し。


1ヵ月以上入院していたババ様が退院することになった。病院に行き本人に面会する。広い病室にベッドがぎゅうぎゅう詰め込まれ、便臭が漂う。ババ様は「早く家に帰りたい」という。そりゃそうだ。
リハビリの担当者に話を聞き、家で暮らすためのサービス調整にかかる。
そこにソノ子さん(仮名 91歳)の家族から「歩けなくなった」と連絡が入る。

6×7×7の腫瘍が脳にあるソノ子さんは軽い麻痺を起こしたが、間もなく消えてもとの生活に戻り、医師を驚かせた。〔7月5日のブログ参照〕

その後のソノ子さんは認知症は相変わらずだが、杖をつかずに歩いて、毎日デイサービスで過ごしていた。不死鳥を思わせたソノ子さんだったが、月に一度の訪問のたび、少しずつ身体が衰えているのを感じていた。

お嫁さんのアキ子さんに介護用ベッドのレンタルをすすめ、翌日訪問した。ベッドに横向きに寝ているソノ子さんの片側の頬が赤く変色し、皮がむけていた。全部で7箇所、歩けなくなって数日で床ずれができていた。その場で掛かりつけ医に連絡、翌日往診してくれることになった。

医師の診断は、早ければ3週間、長ければ3カ月持つかということだ。
医師は以前からアキ子さんに、「今まで在宅で看てきたのだから、最後まで家で看取ったらどうか」とすすめていた。「老衰だから入院しても治らない。病院では管から食事を入れて延命するが、家では食が細くなったら無理に食べさせない。自然にまかせて見守ればいいんだよ」。
医師は毎週1回往診し、訪問看護と連携しながら緊急時には対応する。

以前は家で最期を看取ることに逡巡していたアキ子さんだったが、覚悟を決めて「家で看取ります」と医師に告げた。「先生にえらいって褒められちゃったわ。今はそうする人が少ないんですって」

そうと決まったらケアマネージャーは忙しい。訪問看護ステーションに電話して、訪問看護を早く入れてもらわなければならない。訪問看護の日程が決まったら、訪問入浴、訪問介護と次々にあたる。

ソノ子さんはお嫁さんといるのが一番安心なのである。疲れが出始めたお嫁さんを休養させるため、週に2日、3時間のヘルパーを介護保険で算定できるか、区の介護保険課に確認した。(介護保険発足当時はできたが、だんだん利用制限が厳しくなっている)
「3時間もベタでヘルパーが入って、やる仕事があるのか。監査が入った時、仕事をしていない時間があったら返還してもらう」「認知症の自立支援のための見守りは算定できる」と、担当は厚労省のマニュアル通りの返答。介護保険を使わせないための脅かしである。

終末期の見守りは何が起きるかわからない。死を目前にした人に自立支援のためのヘルパーというのもおかしな話。私は腹が立ち「あなたはそれでも専門家ですか」と言い、ケンカみたいになった。
電話を切った後もしばらく頭がカッカしていたが、よい知恵はないものかと地域の包括支援センターに相談をする。電話に出た彼女は「本人が自分らしい終末期を送るための支援だから、自立支援と考えられなくもない。監査の時きちんとヘルパーの仕事の内容を言えばよいのでは」とアドバイスしてくれた。その上、ヘルパー見つかりそうですかとまで心配してくれた。区の担当者と異なる血の通った言葉に涙が出た。監査ではきちんと言えるよう支援経過をしっかり書いておこう。

嫁姑二人の意向にそったケアプランを作り、各サービス事業所に意見を聞いた上で配布。当分携帯を離さず敏速に連絡を取り合うことになる。


 世田谷通りを自転車で通ったら、大蔵団地に面した歩道に看板が出ているのに気がついた。
    「道路工事のお知らせ」
 この工事は当該歩道橋直近に信号機付き横断舗装が設置されているため利用が少ないことに加え、現在この歩道橋があることで、歩道部が狭く、歩行者の通行の障害になっています。
 上記の理由により、横断歩道橋の撤去及び歩道舗装の復旧を行うものです。
この工事に要する費用は、事業費(工事費)7767万円 1㎡辺りの金額2万円
東京都第二建設事務所 補修課
※ (↑ この地域の都道を管理する都の建設事務所 )

あら、とうとう歩道橋が撤去されるのかと自転車を止めて見入る。さて、この場所の歩道橋も確かに通行の障害であるが、もっと危険で、早急に撤去してほしいところが何箇所かある。そのうちの一つ、成城1丁目の交差点、そこは歩道橋がコの字に架かり、横断歩道が1方向にしかない。成城駅方面に向かう自転車は横断歩道のない道路を横切らなくてはならない。非常に危険であり、警察、都道の現場担当者も困っていることは前にも書いた。

都道の現場担当者から現地で説明を受け、わかったことは、道路管理者である都、地元自治体、警察署が連携して総合的に取り組まなければ解決しないことだった。
歩道橋があるため横断歩道が少ない、小学校がある所は通学路に指定されているため、歩道橋を撤去できない理由になっている。
こういう場合、警察が曜日、時間帯を変えて交通量調査をして、どのくらいの人が歩道橋を利用し、どのくらいの人が歩道橋のために不便で危険な目にあっているか、交通事故のデータ−をあわせて総合的に検討し、通学路の見直しをすればよいことがわかった。だから、「都知事への提言」に、3者が連携して取り組むことを求めたのである。

今回、一つ歩道橋が撤去されることは前進だが、危険度の高い歩道橋が後回しになったことは、総合的な観点からの取り組みが実現していないことと受け止めた。しかし工事のお知らせに歩道橋を撤去する理由と経費が書かれていることに現場担当者の心意気を感じた次第。工事は税金で行われるのだから、当然であるが、それにしても歩道橋ひとつ撤去するのに莫大なお金がかかるものだ。
 
 オバマ氏が大統領に選ばれるのを、あれよあれよと見つめた。小泉時代アメリカの後追いを続けるなんて、何もいいことないのにと苦々しく思っていたが、アメリカの民主主義の底力と奥行きを知らされる。日本はアメリカのいったい何を追いかけていたのか。同じ民主党でも日本のとはだいぶ違うな。
アメリカでは小学校から未来の有権者としての政治教育が授業で行われているそうだ。

1万2千円の定額給付金で騙されるようではね。