みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

「学校の悲しみ」

昨日友達に電話したら、「確定申告をやってるとこ」だった。私は昨年度、医療費の自己負担分が50万円ほどになった。そこで重い腰を上げて、電卓をたたきながら下書き用紙に書き込んだ。明日役所に持っていこう。

「学校の悲しみ」ダニエル・ペナック著 水林 章訳 みすず書房
厚い本で、内容が濃いので読み終えるのに時間がかかった。返却期限はとうに過ぎている。

新聞の書評で見て、この「学校の悲しみ」というタイトルに魅かれた。劣等生の悲しみでもよかったが、あえて学校の、にしたのは、著者自身が学校の勉強について行けなくて苦しんだ経験から出発して、教育について、学校について、教師について考えた物語的エッセイなのだという。
著者は3人の教師と出会うことにより救われ、勉強に身が入るようになる。そして教師の資格を取り、日本でいえば落ちこぼれのいる中等教育の教師になる。


私も劣等生だったから共感をもって読んだ。小学校の中頃に病気で休んで学校に行ったら、授業がチンプンカンプン、まったくわからなかった。
勉強についていけない劣等生と親の悲しみ・苦しみは万国共通なんだと、なぜかほっとしてしまう。
この本はフランスでベストセラーになったという。日本の、教育について書かれた本は、読む気力が起きないのだけど、この本は知的でありながら、くだけていて、フランスの良い意味での知識人のレベルの高さを感じさせる。サルトルも、確かボーボワールも教師だった。
日本ではまず、教師に読んでほしい。親は、教育・学校の問題は制度をいじっても、すぐにどうなるものではないことを認識するだろう。教師は優秀でストレートに駆け上がってきた人ばかりではない方がいいと思った。