みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

柏崎刈羽原発事故も「想定外」

予備の乾電池がないので、近くのホームセンターに買いに行った。実は言いにくいのだが、私の住む地域は計画停電区域なのに、なぜかまだ一度も実行されていない。隣町では停電がある。さすがに計画停電が実施されている地域から不公平だというクレームが出始め、見直しがあるようだ。電力不足は長丁場になるようだからどうしても乾電池は必要だ。
単3はあったが、懐中電灯用の単1が全然ない。関西方面で増産していると報道されていたからもう出回っているだろうと思ったのに。赤ちゃんや幼児を抱えた主婦は買い物に自由に行けない。東京の水道水から放射性物質が検出されて、ミネラルウォーターの棚が空になったという。赤ちゃんのいる家庭は不安で困っていることだろう。

福島原発の事故はどの程度危険な状態なのか、大量の放射線が放出される恐れがあるのかさっぱりわからない。無人の赤外線カメラとかでどの部分が高熱を出しているのか調べられないのか。
今日になってやっと新聞に、専門家が福島原発の老朽化の問題や津波の危険性を指摘したが、経済産業省や経済界の圧力で生かされなかったことなど、東京電力の甘い想定を問題とする記事が目についた。

私の町の図書館には有能な司書がいると見え、福島原発の事故のすぐ後に、図書館の入り口の書架に原発事故関連の本が並んだ。その中から『原発地震』−柏崎刈羽震度7」の警告― 新潟日報社特別取材班 講談社2009年1月発行 を手に取り借りてきた。
新潟日報は2007年7月、世界最大の原発集積地を襲った中越沖地震を契機に、地震発生1週間後から約1年間にわたり、原発地震の問題を深く掘り下げた連載、特集、関連ニュースの報道を展開した。長期連載企画「揺らぐ安全神話 柏崎刈羽原発」と関連ニュース報道が高く評価され、2008年度の日本新聞協会賞を受賞した。とある。

この本を読むと、2007年の柏崎刈羽原発事故は、今回の福島原発事故の予行演習だったのではないかと思えるくらい、同じことが繰り返されていることに驚く。震度7中越沖地震が起きて、原子炉が止まる、火災発生、日本海への放射性物質流出という「想定外」のトラブルにあわてふためく原発職員、風評被害、避難をめぐる新潟県経済産業省原子力安全・保安院の責任逃れの応酬、遅れた情報提供、口つぐむ担当者、「長期化必至」―首都圏供給に狂い という筋立てを見ると、今回の福島原発と同じなんだな。事故後に地震の強い揺れを起こした活断層の解明も、「原発は安全」という神話、原発推進の前提の前に中途半端な状態で打ち切られた。地震国日本へ、柏崎刈羽原発事故の教訓は生かされなかったのである。
新潟日報社特別取材班の検証の過程で、東京電力柏崎刈羽原発用地を売った利益4億円が、田中角栄元首相に渡ったという事実が判明する。闇献金か。もともと故田中角栄氏は原発導入に積極的に動いた人だ。政管民(財)ぐるみで、専門家の指摘を無視して、人間の安全は後回しで進められてきた原子力政策。
新潟、福島県人はなぜ首都圏に電力を供給するために、危険に晒されなくてはならないのか。と悔しいことだろう。それに対して石原都知事は、日本の原発の技術力を信じている。土地があれば東京湾原発を作ってもいいと思っている。とまでいう。その舌の根が乾かないうちに、今回の巨大地震に対する天罰発言である。傲慢なもの言いを、強いリーダーシップと勘違いする人がいるが、まっちょな男は得てして責任を取らない。