みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

食べること排泄すること

 避難所のお年寄りがトイレに行くのを減らすために、水分を控えていることが何度か取り上げられ、水分を取りましょうという呼びかけが報道された。私はその時、たくさんの清潔な簡易トイレが用意されない限り、無理だよなと思った。
 諏訪中央病院の鎌田實さんが宮城県の被災地で医療支援をしていることは知っていたが、今日は避難所のトイレの話をしていた。避難所のトイレは水は流れない、津波で汚水桝も流されたり壊れている。排便する時は新聞紙を敷いて用を足し、終わったらそれぞれに新聞紙を始末する。それをしないとトイレは使用に耐えない悲惨な状態になると。被災してから3週間になってもトイレがそういう状態とは、と暗澹とした。


 阪神大震災でも避難所のトイレが悲惨な状態だったそうだ。その後も何度か大地震は起きたが、あの教訓は伝えられなかったのか。避難所では一番最初にまずトイレの確保と、トイレのルールが決められなければならない。私は阪神大震災の時にトイレで苦労した話を聞いて、自分ちの防災用品に何種類かの簡易トイレを入れた。間に合わない時はス−パーのレジ袋に新聞紙なり、ロールペーパーを敷いて用を足す。それでも汚物で足の踏み場もないトイレよりはいい。
 地域の世話役なり、自治体の職員は、日ごろから震災や非常時の避難所ではまずトイレの確保とルール作りが大切であることを肝に銘じてほしい。食べることと排泄は切り離せないのだから、一人ひとりが自分の問題として日ごろから考え、心づもりしておかなければならない。

 と書きながら、私の担当する1人暮らしの婆様のことを考えてしまった。寝室のベッドのそばに背の高いタンスが並び、タンスの上には衣装ケースが出っ張って置いてある。キッチンには使わない壊れたソファが動線を妨げている。大地震が来た時、タンスや荷物の下敷きになるのは目に見えるので、不用品の整理と処分をすすめたが、捨てさせない。もし、婆様が下敷きになったら、放っておくわけにはいかないから、消防なり救急隊員が出動する。そのために前途有望な若者が命を落とすこともないとはいえない。ゴミ屋敷とゴミが捨てられない人間、けっこう少なくないのだな。曽野綾子著「老いの才覚」や「老い支度」を読ませたいといいながら、私はまだ読んでない。