みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 真夏とはいえあまりにスリラーな話

 
 緑のカーテン 夕顔 (正式名ヨルガオ)
夕方に咲くかと思ったら、曇りのせいか昼過ぎに開花。あまい香りと気品のある姿にうっとり。

 
 21日土曜日NHKスペシャル「メルトダウン連鎖の真相」をみた。
 3・11大地震の後、事故・緊急事態に備えてある蒸気を逃がす安全弁(SR弁)が開かない、圧力を下げるベントができない。非常用補助部品もないから現場は大混乱、余震の揺れと暗闇の中で、現場の社員、作業員は生きて出られないかもしれないという切迫した状況での決死の作業が続く。本当に頭が下がるが、いくらがんばっても無理だったことがわかる.
 原発の構造上事故が起きるまでこうなることはわからなかった! 
 
 アメリカではフクシマの事故を教訓に原発の非常時体制を強化したというが、福島第一の格納容器の中はどういう状態か、放射線が強いため近づくことができないからわからない。そういう状態での収束宣言であり、再稼働安全宣言であることをこの番組は強調し、首相官邸前の脱原発デモの映像がNHKにしては珍しくふんだんに重なる。
 私としては4号機の使用済み燃料の冷温状態が心配なので、その特集も見たい。4号機の冷温停止が続けば、東京はおろか北半球まで放射線汚染が及ぶチェルノブイリ上の原子力災害になり、作業員は致死量の放射線汚染のため全員撤退せざるをえない。となると・・・。日本だけでは手に負えず、世界中の科学者・専門家が協議して世界中の誰も経験したことのない事態に対応することになるが、そのための体制はできているのだろうか。「収束・安全宣言をしたから今更できない」なんていわないでね。

 懸念される4号機の臨界危機に備えようと、図書館で『放射能で首都圏消滅』誰も知らない震災対策 古長谷稔著を借りた。こういうセンセーショナルなタイトルは嫌だが、内容はポイントがわかりやすく書いてあり参考になる。
 初版は2006年4月で、今から6年前に出版した本だ。浜岡原発が老朽化と活断層が直下を走っていることから一番危険な原発として、事故の危険性と対策を書いたもの。順番が狂い福島第一原発が先になってしまったわけだが、福島第一原発の事故は予言された通りである。監修者の一人が小出氏だし。
 
 国会・政府の事故調査委員会もわからなかった「メルトダウンの真相」は、配管の不備であることをNHK取材班は指摘したが、この本にはすでに原発の配管のヒビは地震に弱いんです。と書いてあるではないか。日本の原発配管システムは老朽化し、溶接部分などでヒビが見つかっていて、そこに震度の小さな地震でも襲えばひとたまりもない。また放射線が強いから検査も修理も簡単ではない。
 それに2004年に美浜原発3号炉では突然配管から140度Cもの超高温水蒸気が噴出、作業員4人の命が一瞬にして奪われ、翌日もう一人亡くなったという。原因は配管の肉薄、もともと厚さが10ミリのものが0・6ミリしかなかった。それがノーチェックで30年間運転されていたというのだ。
 それにしても両事故調査委員会は分厚い報告書をまとめたが、なぜ真相に迫れなかったのか。私は今回のNHKスペシャルを見て、先の戦争の大本営参謀本部を連想した。戦争現場体験の少ない指導部や参謀が、現地の実情をよく調べないままに机上で作戦を立て、どんどん兵隊を送りこんでムダ死にさせたが、同じようなことをやっている。
 考えてみれば私がいた介護保険の現場も、現場の実情を知らない厚生省幹部や学者が机上で絵を描き、介護保険制度を推進した。経済性で制度をいじりサービス単価を上げ下げするため現場は混乱し、制度や運用上の矛盾の矢面に立たされた。どれだけのケアマネが疲弊し、心身の体調を崩し退職していったか。

 知らされないということは恐ろしい。インターネットで調べる人と新聞テレビだけの人との情報落差がすごく、話が通じない。私は田舎のヨメさんにインターネットを毎日チェックすること、最低限の防災グッズを揃えるよう進言したが、諸事情で離れられない人にどういえばいいのか。つらいことだ。