みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

甥の披露宴

 秋は各種のイベントが目白押し。その中で一大イベントが甥の結婚披露宴だった。
 本人たちはすでに入籍を済ませ、式も披露宴もやらないといっていたが、三世代同居でいずれ跡取りという立場なので、そうもいかなくなった。村から町に変わってもムラ親戚(まだ江戸時代からの五人組が残っている)を招いてのお披露目が必要という母(甥にとって祖母)、子世代の自主性にまかせたい弟夫婦…さてどんな披露宴になるのやら。
 (たぶん)三世代の折衷案か、結婚式場の宴会場で食事会を開く。会費制・平服で。という案内が、両家ではなく、甥夫婦個人の連名できた。若い人はともかくムラ親戚は、面食らったことだろう。さて母から花嫁のブーケを用意してもらえないかという相談の電話が入った。たしかに平服の花嫁では見分けがつかないから、ブーケが必要か。用事のついでに出た吉祥寺で、東急デパート、パルコを回って、地味婚で平服の花嫁に合うブーケを探す。適当なものがなく結局パルコの素材パーツを扱う店で見繕うことにした。
 若い店員さんが茨城出身で結婚したばかりなので話が弾み、おとなしく自然体の花嫁のイメージに合わせてブーケを作る。適当なリボンがないので後は自分で探すことにする。立ち通しで三時間もかかり、足と頭がとてもくたびれた。
 妹のパソコンにブーケの写真を送り、電話でアドバイスをもらいながら手直しをするのに一日がかり。それからリボンを買いに行き、ブーケが完成。生花とはまた一味違うメッセージ性のあるすてきなブーケができた(つもり)。だが目の肥えた東京の若いお嬢さんたちの観賞眼の前には、うーん自信ない。前もって田舎に送ったら、彼女がとても喜んでくれ、母もそういっているので安堵する。
 さて当日、会費制・平服といっても、年配の客の中には色留袖の人もいたし、祝金が入ってそうなのし袋を出している人もいる。会費制といっても、特に斬新なスタイルの披露宴ではなく、プロに進行をたのみ普通の披露宴と同じ和食のフルコースであった。
 手作りのブーケを贈ってくださったおばさまに、と生まれてはじめてスピーチを指名される。新婦がすらりとしてテレビ漫画ポパイのオリーブ嬢に似ている。司会者に言われ、二人が一生懸命キスをしている姿を見て、ポパイとオリーブを思い出した話をしたら好評だった。前もってスピーチを頼まれたら緊張し、型通りの祝辞になってしまったかも知れない。次に指名された末の弟は「ご結婚おめでとうございます」の後、言葉が出てこないのが口下手の弟らしく好感が持て、会場の笑いを誘った。
 さてさてこの会費制披露宴はムラ親戚にはどんな波紋を呼んだのか。地味婚のつもりが結果的に会費の倍以上の出費になった甥たちはどういう総括をしたのか。正月に聞けるだろう。
 私は冠婚葬祭などの儀式が苦手で最小限しか出ないことにしているが、92歳と84歳の両親に私たちきょうだい全部が6年ぶりに揃い、近所の幼馴染と顔を合わせ感慨深かった。田舎ではこういう席で老人から昔話やホンネの話が出てくる。今回も戦時中の思いがけない話が聞けてラッキーだった。