みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 歩道橋のない道と空




 




  


                                                                                                                        


 

     世田谷通りの「バカの壁」歩道橋が取り払われた。

 そもそもの始まりは、2006年12月1日号の都広報の第一面「東京のみちづくりを進めています! 渋滞解消で快適な生活を」 だった。
 そこには大きな幹線道路の計画は書かれているが、都民が日常的に使う生活道路についてはいっさい出てこない。私はブチ切れた。生活道路、歩道には歩行者、高齢者、障害者、バギー、車いす利用者にとっては危険がいっぱい、安心して歩くこともできない。

 私自身は通勤に自転車を使っていたが、幹線道路沿いの歩道を歩道橋の橋げたが占拠し、歩道橋の階段の下はバイクや自転車の駐輪場と化している。いつも自転車通勤のたびに腹を立てていた私は、それらの写真を付けて、担当部署に何とかしてほしいと郵送した。  
 世田谷通りは都道なので管轄は東京都である。現場の担当者から連絡が入り、現地で説明するといってきた。現場の担当者はさすが問題点を熟知し、改善方法も承知していた。歩道橋は学童の通学路に指定されているため学校や地域との調整が必要だが、少子化でほとんど利用されていない現状を見れば、これはクリアできそう。歩道橋を撤去できない一番のネックはお金、予算がつかないからだった。何に予算(税金)を使うかは力関係で決まる。それとトップの決断。

 翌2007年「都知事への提言」を募集していることを広報で知る。これは道路行政、まちづくりに高齢者や障害者、自転車利用者の安全を優先するよう要望するのにチャンスだと思った。というより自分が通勤のさい、身の危険を感じていたのが大きい。危険個所の写真を撮り一枚の組写真にした。都と警察署と自治体が連携し協議して改善してほしいという文書に、資料として添付し郵送した。役所に改善を要望するとき、写真の効果は大きいのだ。
 
 その後、成城警察署の交通課長から電話が入った。都から「都知事への提言」のコピーとともに、交通の安全のために連携してやれといってきたので、という。 交通課長も世田谷区では成城管内の交通事故が一番多く、喜多見6丁目の交差点と歩道橋については困っていた。歩道の自転車走行についても、自転車利用者のマナーや安全教育について意見交換した。お役所仕事と揶揄されるが、真摯に仕事をしている現場の人間にとって、一番必要なのは道路を利用する住民の要望(後押し)だったのかも、結果的に。その後、世田谷通りの歩道橋は少しづつ撤去が始まった。トップが動いたことが大きいのかもしれない。(私は実際に采配を振るったのは石原都知事ではなく、副知事の猪瀬氏ではないかと思っている)

 先月友達から「あなたが問題にしていた歩道橋のところ工事しているよ」とメールがきた。4月に入って穏やかな日和にデジカメを手に見に行った。歩道の幅はそのままなのに、橋げたがな無い分、見違えるほど広くなった。空まで広くなって一帯ががらりと明るく変貌したのに感動した。横断歩道のラインが4か所にくっきりと引かれ、安心して横断できる。近くのビルの玄関に男性がいたので、いつ工事が終わったのか聞いた。先月3月末に終わったという。男性は自分が生まれた時から、歩道橋はあったから危なくくて無用の長物なのも知っていたと、歩道橋の撤去を喜んでいた。私は都に送った資料のコピーを見せたが、それには何もいわなかった。私は住民が要望すれば、改善するのだと伝えたかったのだが。当時いざなみ景気とやらで都の税収は潤沢だった。その予算を何に使わせるのかを決めるのは主権者である都民なのだと。

 何はともあれ脳の手術前に歩道橋が取り払われ、安全で素敵な道になったのを見られてよかった。