みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 男は戦争が好き?

 ゼゼヒヒインターネット投票 自民党政権公約憲法を改正する際に必要な賛成議員数の条件を現在の「3分の2以上」から、「過半数」に緩和するとしています。この自民党の96条改正案に賛成ですか? 反対ですか?https://twitter.com/tsuda
賛成497票22%、反対1722票78% を見て安心したら、NHKニュースでも新聞社の調査でも賛成が優勢。熟議をへないで憲法についての世論調査をやっていいんですか。

 自民党は数の力を背景に憲法を変えようと勇んでいるが、その自民党憲法草案とは、国民主権、平和主義よりも、天皇を元帥にして国家管理を強め、戦争のできる国にしようという、戦前の憲法に近いもの。敗戦時、国民は戦争はもうこりごりと占領国の手による平和憲法を支持し受け入れた。
 この改憲の動きに一番心を痛められているのは現天皇皇后ではないか。お二人の発言、和歌、行動には再び戦争を繰り返さないという意志が読み取れる。また誕生日会見などで国民にも歴史に向きあい、過去の戦争について事実を学ぶことを呼びかけている。

 高尾山山歩きの帰りに寄った娘に、「憲法9条も危ないね」といったら、「男たちは戦争が好きだから仕方ないよ」「だから女たちが頑張らないと」「そうなんだけど、その女は強い男が好きなんだから」と醒めた口ぶり。

 その会話が頭に残っていて、待てよ。マッチョな男は戦争が好きだが、幼児性が顕著で結果に責任を取らない。本当に強い男は戦争が好きとは限らんぞ。日露戦争で功績をあげた水野廣徳(秋山好古・真之兄弟の親戚)みたいな軍人もいる。水野は海軍大佐の時に軍人をやめ、文筆活動に入る。詳しくは水野広徳ミュージアム

 1924(大正13)年、軍部は米国を仮想敵国とした「新国防方針」を決定する。これに対して水野は、『中央公論』6月号に「新国防方針の解剖」を発表し、日米戦争を徹底して分析、日本の敗北以外にないと結論、日米非戦論を展開し、日本国内のみならず、ニューヨーク・タイムズに転載され注目を集めたが、当局から左翼的思想の持ち主としてマークされる。

 この論文を発表した1924年は東京大空襲の20年も前であるが、水野はこのとき、日米開戦すれば米軍は、「海上より100機の飛行機を東京上空に飛ばすことは、左程の難事ではない。強力なる一発の爆弾は、東洋一と称する丸の内ビルディングすらも粉砕することが出来るであろう。100機の飛行機は、一夜にして東京全市を灰燼(かいじん)に帰せしむることが出来るであろう。国防に対する軍事当局者の誠意と忠実とに疑を挿まざるを得ないものがある」と予見した。そして現実はそのとおりになった。正に真実の疑であった。

 満州事変勃発後の1932(昭和7)年10月、日米戦争仮想物語『打開か破滅か・興亡の一戦』を東海書院から発行、また同年11月東洋経済新報に論文「日米若し戦はば」を発表するが、いずれも発売禁止となり、これ以後水野の執筆・講演等は事実上不可能となる。水野58歳のときである。

 1934(昭和9)年、水野は自らの心境を次のような歌に託している。

 「戦えば必ず勝つと己惚れて 戦を好むいくさ人あり わけを知らぬ民をおだてて戦ひの 淵に追ひこむ野心家もあり わが力かえりみもせで只管に 強き言葉を民はよろこぶ 戦へば必ず四面楚歌の声 3000年の歴史あはれ亡びん 侵略の夢を追ひつつ敗独の 轍踏まんとす民あわれなり 力もて取りたるものは力もて 取らるるものと知るや知らずや」


ゼゼヒヒインターネット投票で、「男は戦争が好きか嫌いか」やってほしい。