みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 憲法9条のブランド力

 8月の旧盆の期間は、毎年終戦特集が放送される。猛暑のため、田舎行きをキャンセルして連日テレビ鑑賞、その中で印象に残ったもの。
徹子の部屋」ゲストの女優三条美紀は1928年(昭和3年)生まれ。この年に生まれた人は小学校6年生で太平洋戦争が始まったのか。女学校では学徒動員で、勉強がほとんどできなかったという。三条美紀さんは動員先の工場で経理の仕事をさせられたが、漢字を読んだり書くのがわからなくて困ったという。女学生でも旋盤や兵器の部品を作る危険な作業をさせられた人もいたから、恵まれていた方だと思うが、彼女は勉強すべき時にできなかったことが悔しいと少女時代を振り返る。
 
 ところで1935年生まれは小学校一年生になるべきところが、入学と同時に国民学校に変わったため、小学校と縁がなかった人たちだ。国民学校とは皇国民になるための錬成教育が主体だったから、真っ当な教育を受けられなかったという恨みが残る。もっとも同じ年代でも「勉強して成績が良かった」と教育勅語の暗唱など注入教育中心の教育を受けたことを気に止めていない人もいる。人さまざまだ。


NHkスペシャル シリーズ日本新生 戦後60年いま「ニッポンの平和を考える」
岡本行夫半藤一利伊勢崎賢治、土井香苗、岩田温 宇野常寛

 岡本行夫氏は「集団的自衛権の行使」について、「戦後日米安保条約において守られて来たのだから、痛みを伴う負担を負うのは当然であり、今までのように自分の国の防衛費を低く押さえて痛みを負担するのは嫌だでは通用しない」と述べる。岡本氏には、基地提供をしている沖縄の痛みは? 思いやり予算とかもあるし、と納得できない。
 
 その点伊勢崎賢治さんは、岡本さんのようによどみなく喋るのではないが、発言に説得力があった。
 アフガニスタン現地での活動を踏まえて次のように述べていた。アメリカはテロとの戦いで、対米憎悪を押さえることはできない手詰まり状態だ。そこでアメリカが日本に期待しているのは武力による援助ではない。
 アメリカにないものを日本に求めている。それは日本が戦争しない国だということで、現地の人々に受け入れられていく役割だ。米国は現地の人々に憎まれているので、そうしたソフトな役割を日本に期待している。
 集団的自衛権の行使など論外だ。そのことを日本の政治家はまったくわかっていない。9条を失うことは、この大事なカードを失うことだということを、日本人は自覚してほしい。
 半藤さんは、「日本は海岸線が長いから戦争はできない国だ」といった。真ん中は山岳地帯で人が住めない。その海岸線に都市が発展し、人が住み、工場地帯があり、原発が54基もあるという事実。
 若い論客から、日本を守るために何をすべきか、保守の側ははっきりしている。軍事力を増大し、日米同盟を強化するということだ。それに対して、リベラルの側からはポジィティブな提案がないではないかと。
 それは皆感じていることだろう。最後の方で、伊勢崎賢治さんが自身の活動体験の中から、憲法9条にはブランド力がある。という確信に充ちた言葉があり、これからはそのメリットを具体的に示す努力をしていきたいという心強い発言があった。(拍手)