みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

 空の青とヘブンリーブルー

ヘブンリ−ブルー

                              
 5月、鉄筋長屋の出入口の植え込みに夕顔(ヨルガオ)と西洋朝顔ヘブンリーブルーの種を蒔いた。
 ヨルガオの方が逞しく、ぐんぐんツルを伸ばして繁り、ヘブンリーブルーは姿が見えなくなった。
 7月の夕暮れ、ヨルガオは次々に開花し、妖艶な香りを漂わせた。夏が過ぎ、秋風とともにヨルガオの花弁が小しずつ小さくなり、香りも薄くなった。
 誰の眼にもヨルガオの盛りが過ぎたことが感じられる頃、突然ヘブンリーブルーの花がヨルガオの間から現れた。いったいどこに影をひそめていたのか。
 ヨルガオの白い花はブルーの花の間に遠慮がちに咲いている。植物界の勢力図、交代劇も人間界同様摩訶不思議で見飽きない。

 毎朝水をやり、花ガラを摘み、時々肥料を施すが、何といっても手がかかるのがツルの誘引である。さぼるとツル同士絡み合い、駐輪場の屋根まで這い上がる。
 それでも長屋の住人だけでなく、通りがかりの人まで花に見惚れ、香りに癒されるのを見るのはうれしいものだ。今まで挨拶だけだった人や見ず知らずの人と、花が縁で会話を交わすようになった。

 手術のため入院した時期は夏のような暑さが続いていたので、ベランダの鉢や緑のカーテンの水やりをどうしたものか困った。ベランダはスダレを垂らし、大きなペットボトルの蓋に穴を開けて逆さにして土に刺した。病室で天気予報を見ると晴天続きで気温が高いので、気が気ではなかった。
 医師から「あなたの年齢だと後2日は入院していた方がいい。独り暮らしなんだし」といわれたが、連休で職員が手薄になり当直医しかいない病院にいるより、家に帰った方がまし。幸い経過が順調だったので、手術後4日目、7日間の入院で退院した。
 タクシーから降りたら、数えきれないほどのへブンリーブルーの花が目に入った。天上の青とはこんな色かと、空を見上げたら、本当に秋の空の色と同じ澄んだブルーだ。
 一階のオクサンが待ちかねたように「ペットボトルの水が流れないから、手で押して水を出したのよ。朝顔が20も咲いたわよ」とうれしそうに話しかけてきた。「おかげで楽しませてもらってるわ。みんな見惚れてるわよ。種を欲しいといっている人がいるんだけど」。
 従来の朝顔と見分けがつかず同じだと思っている。へブンリーブルーは一年草で種ができない。一日中咲いているし、従来の朝顔とは別物なのだ。と調べてわかったことをオクサンに説明した。
 退院した日からいつものように食事を作る。病院の食事はおいしかったが、やはり好きなものを自由に食べる幸せを噛みしめる。日常のありがたさを再認識できただけでも7日間の入院は意義があった。

 ※ヨルガオとヘブンリーブルーのコラボレーションの写真を載せようと格闘したが、ウ〜ン。