みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

  桜の蕾

kawanomiti2014-03-28

 3月中旬ごろ桜の剪定をしている所にぶつかると、声をかけて廃棄される枝を頂くことにしている。日の当たるベランダに水につけて置いておく。小さな固い蕾が徐々に大きくなる。気がつくとピンク色に膨らんでいて生命の強さに感動する。自分一人で眺めるのはもったいないので、公民館や図書館の受付窓口に持って行き、飾ってもらったこともあった。
 たまたま今年、近くの小学校の桜の古木を剪定していたので、「枝をもらっていいですか」と植木屋さんに聞いた。「蕾が小さいから咲くかどうかわからないよ」と大きな枝から何本か切りとってくれた。
 進行性の食道癌が見つかった父が、桜の開花を見られるかどうか危ぶまれていたので、これは天からの恩恵のように思えた。茨城の田舎は東京よりも開花が遅い。叔父が父に逢いにくるというので、それまでに開花させたいと、夜は暖房の下に置いてみたり霧吹きで湿らせたり工夫し、日帰りで田舎に届けにいった。母が近くの川の岸辺で菜の花を摘んできて、桜の枝と組み合わせて生けた。
 
 昨日はあいにくの雨で寒かった。咲いたかどうか気になっていたら、先ほど田舎のヨメさんから、桜の花は幾つか開き楽しむことができたとメールが届いた。93歳の父は癌が見つかってから、さばさばとして精神的にクリアになっていく。尊厳死宣言に署名し、充分生きたのだから延命処置はしないと。父と叔父は心おきなく死の準備の話を含め、楽しそうに話をしていたという。私は父の意志を尊重しつつ涙が止まらない。ヨメさんのメールには母の俳句が添えられていた。

  娘(こ)の父に
  初花一枝
  病窓に