みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

なぜ保健所は機能しないのか

4月27日 羽鳥慎一モーニングショーhttps://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200427-00175483/ で、新型コロナ対応の最前線といえる保健所の様子をVTRで放映していた。

東京・港区の保健所に次々にかかってくる電話対応に職員が追われる様子が放映される。全国保健所長会の白井千香副会長が「(職員)は交代もできないし、土日も業務がある。土日の半日だけを休んでとにかくぶっ通しです」という実態を語っていた。 

それに対して玉川徹氏の発言

「もう一回、いろいろなものを見直さないといけない」とし、

「・・・さきほどVTRの中にあったように保健所のみなさんも平日から人員不足なんですよ。というのは、保健所というのは、いろいろな自治体にあるわけですけど、自治体からの応援が十分に行っているのかと。それから、保健所をずっとやってきた人以外でもできることはきっとあると思うんですけど、応援が行っているにしてもまだまだ足りないということですよね。・・・」と意見を述べた。

 ここからは私の感想 

保健所の内部の様子がテレビで放映されたことはよかった。このなかで、玉川徹氏は保健所というのはいろんな自治体にあるといっている。しかし、同じ東京でも私の住む都下の多摩地域では、各自治体に保健所がないのである。

30数年前、自治体に一カ所あった保健所が隣の自治体と統合され、気がついてみたら6市に一カ所になっていたのである。これでは新型コロナウイルスに感染したとしても、電話は繋がらないだろうし、お手上げだ。

多摩府中保健所のホームページによると、平成16年4月、府中、小金井、武蔵野、三鷹、調布、狛江の6市を所管区域とする東京都多摩府中保健所が新たに発足した。

https://www.city.fuchu.tokyo.jp/smph/shisetu/sonota/kuni/tamafuchu.html

 

これだけ広域にまたがる6つの自治体を、どうして一カ所の保健所が担当することになったのか。

1999年(平成11年)に、石原慎太郎氏が都知事に初当選。石原氏は翌年発足する公的介護保険制度を念頭においていたのだろう。福祉の規制緩和・民間活用を公約の一つに掲げる。石原知事4期13年の間に都立病院・福祉の民営化など規制緩和が進む。

2004年(平成16年)には、小泉総理が初当選して3年目、第二次小泉内閣が発足した。「自民党をぶっ壊す」と演説し、喝采をあびて当選した小泉総理は、言葉の発信力に秀でて「自己責任」という言葉を国民に浸透させる。

社会保障費の抑制、福祉の民営化が進んだが、国民は小泉総理を支持し、新自由主義経済へと社会の流れは加速してゆく。2000年(平成12年)4月、公的介護保険制度がスタートし、私はケアマネージャー(非正規)の仕事についた。

小泉総理誕生と同時に、介護保険制度は発足時より段階的に後退し、介護報酬が削減されてゆく。介護に携わる人材の離職やサービス内容の縮小が続く。介護保険制度がスタートして20年経ったが、制度はあってもサービスはないという現状だ。

当時の私は、職場が区部だったことから、自分の住む地域の保健所が広域に統合されていることを知らずにいた。今朝の「羽鳥慎一モーニングショー」でも、都下の保健所の広域化については取り上げられなかった。たぶんほとんど知られていない。新型コロナ感染が自分に降りかからなければ。

保健所が新型コロナ対応の最前線基地なのに機能不全になっているのはなぜか。その根本原因と経緯について、きちんと知りたいと思う。