みち草

2004年からはてなぶろぐを書いています。このぶろぐでは日常の身辺雑記中心に書きます。

私鉄の電車内で

新宿まで行かなければならない用事があった。昨年8月に小田急線、10月末に京王線の電車内で男が刃物で乗客を切りつけ、油をまいて火をつけるという事件があったばかり。平日の混まない時間帯の私鉄の電車に乗って行くことにする。案ずることもなく無事電車は終点新宿駅に着いた。

 

用事を済ませ買い物をして、帰りの電車に乗るために駅のホームに向かう。夕方のラッシュまでには間があるものの混雑は始まっていた。車内通路をはさんで真向かいの席に20代後半位の女性が2人並んで座り、スマホをかざして屈託なく楽しそうにお喋りしていた。どちらの娘も肉付きがよく、一人はミニスカートをはいて、その上に黒のレースの巻きスカートみたいなのが見える。

 

出発時間が近づいて座席はほぼ埋まり、彼女ら2人が座る隣に20センチほどの空間ができた。発車間際のドア、小柄で痩せた80才くらいの老人が乗ってきた。小さな布の袋を2つ手に持ち、娘らの脇の空間の前に立ち座ろうとしたが、幼児一人分ほどのスペースなのであきらめて歩いて行った。

 

娘らはスマホから顔を上げ、老人の去った方を見て気にしている様子。空席はなかったと見え、老人が戻ってきた。老人は後ろ向きになるや、いきなりお尻を20センチ幅の狭い空間に身体をよじりながら入れはじめ、スルリとお尻は座席に埋まったのである。何という見事な技! 老人は布の袋を膝に抱えると、隣の娘の太い腕に頭をもたれスヤスヤと眠りについた。娘は嫌な顔もせず友人とスマホを見ながらお喋りに余念がない。

 

さてこの老人はどういう生活をしている人だろう。身なりもこざっぱりと清潔でどこか品がある。二人の娘はどういう職業についているのか。水商売の人でとても人気ランキングが高かったりして・・・想像が膨らむ。

 

「オジイサン良かったね」おおらかな娘と安心して眠る老人の姿にほっこりするものがあり楽しませてもらった。電車内という空間 怒鳴る人や、暴力を振るう人は困るが、たまに乗ると人間研究したりいろんな発見がある。